コンデンサ ~ESRの影響~
こんにちは。エヌがのです。
今回はリップル電圧や許容リップル電流、ESRの影響について話をしていこうと思います。電圧平滑効果に関係する話です。
・リップル電圧
リップル電圧とは、DCバイアス電圧からの変動電圧のことです。主にFET等のスイッチング時に変動が大きくなるためスイッチング周波数に同期して変動します。ノイズ成分として扱われることが多いです。
(参照:https://www.nipron.co.jp/product_info/technical_dictionary/1_4.htm)
・リップル電流
リップル電流は、コンデンサの変動電流のことです。コンデンサは電荷を放電、蓄電する素子であり、このとき流れ込んだり流れ出したりする電流をリップル電流と言います。実際のコンデンサには、並列や直列に抵抗成分があるため、リップル電流が発生すると発熱します。
(参照:https://www.yuden.co.jp/jp/product/tech/basics.pdf)
この発熱はコンデンサの負荷となり、一定値を超えるとコンデンサが破損します。破損しないためのリップル電流の許容値を許容リップル電流値や最大リップル電流値と呼びます。
一般的に、許容リップル電流が高いコンデンサはESRが低いことが多いです。
・電圧の負荷変動
IC等が電流を大量に消費すると、電源に負荷がかかります。このとき、電源が電池の場合でもレギュレータICの場合であっても、瞬時に電流を供給することができません。そのため、回路に負荷がかかり電圧が下がります。これが大きなリップル電圧(ノイズ成分)となります。このリップル電圧を平滑させるためにコンデンサを使用します。
(参照:https://www.yuden.co.jp/jp/product/tech/basics.pdf)
電源から瞬時に電流が供給されないため、コンデンサから電流を供給します。これによって電圧変動が抑えられ、リップル電圧は低減されます。しかし、コンデンサはESL成分やESR成分が含まれるため、理想的な特性は得られません。
・ESR(等価直列抵抗)による電圧変動
今回の場合では、ESR(等価直列抵抗)成分の影響を考えます。ESL(等価直列インダクタンス)成分による影響は少ないので今回は省略します。
ICが電流を消費し、コンデンサがこの電流を供給する場合、ESRによる電圧変動が生じます。
(参照:https://www.yuden.co.jp/jp/product/tech/basics.pdf)
コンデンサが貯めた電荷を放電するとき、ESRに電流が流れます。この時、電圧はESRによって消費され電圧が降下します。これは、放電だけではなく充電時にも起こる現象です。
(参照:https://www.yuden.co.jp/jp/product/tech/basics.pdf)
この現象により電圧変動を抑えるためのコンデンサが逆に電圧変動を激しくしてしまいます。
(参照:https://www.yuden.co.jp/jp/product/tech/basics.pdf)
上図は比較的ESRが高いコンデンサの容量毎の電圧特性です。この図より、容量を上げると平滑化が進みますが、ESRの影響により、無視できないほど大きいリップル電圧が発生していることがわかります。
下図はESRが比較的低いコンデンサの特性です。
(参照:https://www.yuden.co.jp/jp/product/tech/basics.pdf)
このような特性から、ESRが低いコンデンサの方が平滑能力が高いことが分かります。
今回はESRに焦点を当てて電圧平滑能力について書きました。最後にESRが低ければ低いほど良い平滑能力が得られると結論づけていますが、現実はもっと複雑で、ESRが低すぎることによって生じる問題もあります。ただ、ESRによってこのような特性があることは確かなので、参考にしていただくと幸いです。
また長々と書きましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。なんだがまだ書き足りなさそうなので2回くらいコンデンサのことを書く予定です。